前回は、Ionic+AngularJSでスマホアプリを開発するための、開発環境の構築方法について説明しました。
今回は、Androidアプリをビルドするための環境を構築します。
環境
項目 | 値 |
---|---|
OS | Ubuntu 18.04 |
CPU | 6core Intel(R) Core(TM) i7-5820K CPU @ 3.30GHz |
メモリ | 12 GB |
ディスクサイズ | 100 GB |
Android Studioのセットアップ
Android Studioのインストール
Android Studioに必要なパッケージをインストールしておきます。
$ sudo apt install canberra-gtk*
64bit版Ubuntuを実行している場合は、以下のコマンドで32bit用のライブラリをインストール必要します。
32bit版Ubuntuの場合、次の操作は不要です。
$ sudo apt-get install libc6:i386 libncurses5:i386 libstdc++6:i386 lib32z1 libbz2-1.0:i386
以下のページから、Android Studioのパッケージをダウンロードします。
ページ中央のダウンロードボタンをクリックすると、zipファイルのダウンロードが始まります。
ダウンロードが完了したら、解凍します。
解凍先は、自身のユーザー用であれば、/usr/local、共用ユーザー用であれば/optに解凍するといいでしょう。
以下、/usr/localに解凍する場合として説明します。
ダウンロードしたzipファイルを/usr/localに解凍します。
$ sudo tar vxf android-studio-ide-192.6392135-linux.tar.gz -C /usr/local
zipファイルを展開したディレクトリへ移動します。
$ cd /usr/local/android-studio/bin/
Android Studioを起動します
$ ./studio.sh
ウィザードに従ってインストールします。
既存のAndroid Studioの設定を引き継ぐか選択できます。
今回は新規なので、「Do not import settings」にチェックを入れてOKを選択します。
Welcomeメッセージを見たら「Next」を選択します。
インストールタイプは、「Standard」のまま「Next」を選択します。
テーマは好きな方にチェックを入れて「Next」を選択します。
SDKコンポーネントのセットアップ画面です。
エミュレーターでアプリをデバッグしたいので、「Android Virtual Device」にチェックを入れます。
また、赤枠内の”Android SDK Location“は後々使うので、メモしておきましょう。
デフォルトでは、/home/ユーザー名/Android/Sdkになっています。
エミュレーターを使う場合は、KVMをインストールする必要がある旨記載されています。KVMは後ほどインストールします。
「Finish」を選択すると、コンポーネントのダウンロードが始まります。
コンポーネントのダウンロードが完了したら「Finish」を選択します。
Android Studioが起動したら、インストール完了です。
KVMのインストール
Android StudioのAVDを有効にするためには、KVMをインストールする必要があります。
まず、お使いのCPUが仮想化技術に対応しているか確認しましょう。
$ egrep -c '(vmx|svm)' /proc/cpuinfo
0が表示された場合、仮想化技術に対応していないので、Android Emulatorは使えません。
0以外が表示された場合、以下の手順に従ってKVMをインストールします。
KVMとついでにadbをインストールして、ユーザーにkvm実行権限を追加します。
adbは、実機を使ったデバッグ時に必要なパッケージです。
$ sudo apt -y install qemu-kvm adb
$ sudo gpasswd -a "${USER}" kvm
設定を反映させるために、再起動します。
$ sudo shutdown -r now
以上でKVMのインストールは完了です。
環境変数の設定
Android Studioが使う環境変数を設定します。
ここで、先ほどのAndroid Studioインストール時にメモした、”Android SDK Location“を使います。
~/.bashrc、または、~/.bash_profileに、Android SDK関連のパスを追記します。
export ANDROID_SDK_ROOT=$HOME/Android/Sdk
export PATH=$PATH:$ANDROID_SDK_ROOT/build-tools
export PATH=$PATH:$ANDROID_SDK_ROOT/platform-tools
export PATH=$PATH:$ANDROID_SDK_ROOT/emulator
設定を反映します。
$ exec $SHELL -l
以上で、Android Studioに必要な環境変数の設定は完了です。
Androidエミュレータのセットアップ
IonicでビルドしたアプリをPC上で動作させるためのAndroidエミュレータをセットアップします。
Android Studioを起動します。
$ /usr/local/android-studio/bin/studio.sh
画面右下の”Configure” -> “AVD Manager”を選択します。
デフォルトで最新のAPIのADVが登録されています。
再生ボタンを押してエミュレータを起動してみましょう。
画面のように、Android端末のエミュレーターがが表示されれば、正しくセットアップできています。
以上で、Androidエミュレーターのセットアップは完了です。
JDKのインストール
Androidアプリのビルドに必要なJDK8をインストールします。
$ sudo apt install openjdk-8-jdk
環境変数を設定します。
~/.bashrc、または、~/.bash_profileに以下を追記します。
JAVA_HOME=$(readlink -f /usr/bin/javac | sed "s:/bin/javac::")
export JAVA_HOME
PATH=$PATH:$JAVA_HOME/bin
export PATH
設定を反映します。
$ exec $SHELL -l
以上で、JDKのインストールは完了です。
Gradleのインストール
GradleはAndroidアプリのビルドツールです。
SDKMAN!というJAVAのパッケージマネージャーから簡単にインストールできるようになっています。
まず、SDKMANをインストールします。
$ curl -s "https://get.sdkman.io" | bash
$ source "$HOME/.sdkman/bin/sdkman-init.sh"
Gradleをインストールします。
$ sdk install gradle 6.3
バージョンを確認します。
$ gradle -v
Welcome to Gradle 6.3!
Here are the highlights of this release:
- Java 14 support
- Improved error messages for unexpected failures
For more details see https://docs.gradle.org/6.3/release-notes.html
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Gradle 6.3
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Build time: 2020-03-24 19:52:07 UTC
Revision: bacd40b727b0130eeac8855ae3f9fd9a0b207c60
Kotlin: 1.3.70
Groovy: 2.5.10
Ant: Apache Ant(TM) version 1.10.7 compiled on September 1 2019
JVM: 1.8.0_242 (Private Build 25.242-b08)
OS: Linux 4.15.0-96-generic amd64
上記のように出力されていれば、Gradleのインストールは完了です。
まとめ
今回は、Ionic+AngularJSでスマホアプリを開発するために必要な、Androidアプリビルド環境を構築しました。
次回は、アプリを開発して、開発したアプリをAndroidアプリとしてビルド・エミュレーターで実行するところまで説明します。
参考
Android Studio公式ページ
Gradle公式ページのインストール手順
SDKMAN公式ページ
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